■東京乗合自動車のパンフレット(1935年)
ハーレーのパンフレットに続き、祖父の遺品の中から出てきました。 調べてみると、はとバスの前身にあたる観光バスのパンフレットのようです。
このパンフレットは1935年(昭和10年)4月改正時に作成されたものです。 寸法はB5より少し大きく、巻き三つ折りです。見た感じはオフセット2色刷で、あきらかに版ずれしてます。
【外面】東京遊覧 乗合自動車 婦人案内係附 鉄道省指定
左下には社名と部課名「東京乗合自動車株式会社遊覧課」が記載されています。中央下部に乗車料金の案内があるので転記します。
- 大人 3円30銭
- 小人(12歳マデ) 2円30銭
- 幼児(5歳未満) 無料(保護者1人に付1人限り)
- 軍人(制帽制服準士官以下)・生徒(中学校程度)2円80銭
右上には「【大正十四年】日本で初めて許可になって東京市内に於ける鐵道省監督下にある唯一の遊覧専門の乗合自動車です」とあり、 「なぜ便利なのか」かが列挙されています。ここも転記します。
- 展望式高級自動車ですから乗心地の好い上に ...
- 必ず腰が掛けられ、且つ夏は涼く、冬は暖で、 ...
- 終日御同伴者ご一緒に話しながら想定通り御見物が出来ます。 ...
- 晴雨に拘らず、例へ御乗客一名でも定期に発着しますから、 ...
- 責任感の強い親切な婦人案内係が終始附添ひお世話しますから、 ...
- 御食事のご用意も指定の休憩所で色々のものが出来ます 。...
- 御心付は一切入りません。案内係にも、運転手にも、 ...
外面の右側は「申込御注意」などに、他業者を問題点を指摘する内容と、自社のサービスの優位性を説明する内容が事細かに書かれています。 後発組の他業者(粗悪業者)が客の奪い合いをしていたのでしょう。
【中面】東京遊覧乗合自動車遊覧経路図
中面は地図です。山手線で囲まれるように東京市内の名所が記されていて、巡る順番がわかるようになっています。 さらに○囲みで「偽物に御注意 当社の遊覧車は(黄色)の大型展望車 婦人案内係附です」の記述があります。
ここから使用する車は「黄色の大型展望車」と読み取れます。はとバスの黄色い塗装は、既にこの時期にあったみたいです。